事務所のホワイトボードに案件一覧、詳細はExcel、急ぎの変更は電話と口頭——多くの会社の案件進捗管理は、この組み合わせで回っています。回ってはいるものの、「ボードとExcelが食い違う」「外から状況が見えない」という悩みもセットでついてきます。この記事では、案件進捗管理をWeb化するときに、ツール選びより先に押さえてほしい設計のポイントを4つ紹介します。
よくある進捗管理の困りごと
- ホワイトボードとExcelの内容が食い違っていて、どちらが正しいか分からない
- 営業先・現場から最新状況が確認できず、事務所への電話で済ませている
- 「あの案件どうなってる?」の確認が1日に何度も発生する
- 月次の受注集計・売上見込みづくりが手作業の集計頼みになっている
これらはツールを入れれば自動的に解決する、というものではありません。設計を誤ると「更新されないシステム」がホワイトボードの隣にひとつ増えるだけです。
ポイント1: 「誰が・いつ・更新するか」を先に決める
進捗管理システムの価値は、データが最新であることに尽きます。だから画面の設計より先に、運用の設計が要ります。
「ステータスを動かすのは誰か(営業? 工務? 事務?)」「どのタイミングで動かすか(受注したら? 着工したら?)」を決め、その人の1日の流れの中で本当に更新できるかを確認します。現場に出ずっぱりの担当者に「帰社後にPCで更新」を求める設計は、ほぼ確実に形骸化します。
ポイント2: 入力は1分以内に終わる設計にする
進捗の更新は、担当者にとって本業の合間にやる「ついで作業」です。ついで作業に許される時間は、せいぜい1分。そのために:
- ステータスはプルダウンやボタンの選択式にする(自由記述にしない)
- 必須項目は最小限に絞る(詳しいメモは任意でよい)
- 今あるExcelの列を全部システムに持ち込まない
Point
既存のExcelには「昔は使っていたが今は誰も見ていない列」が必ず混ざっています。Web化は、その棚卸しの絶好の機会です。「全列必須」のシステムは必ず形骸化します。
ポイント3: 一覧の見え方を立場別に考える
同じ案件データでも、見たいものは立場によって違います。
| 立場 | 見たいもの |
|---|---|
| 経営者 | 全案件の俯瞰、受注金額、止まっている案件 |
| 営業担当 | 自分の案件の状況、次のアクション、見積の期限 |
| 現場・工務 | 今日・今週の作業対象、必要な資材や図面 |
| 事務 | 請求できる案件、書類が揃っていない案件 |
Excelの巨大な一覧表をそのまま画面にすると、誰にとっても見づらいものになります。データはひとつ、見せ方は立場ごと。これはExcelでは難しく、Webアプリが得意とするところです。
ポイント4: 既存のExcelをいきなり捨てない
切り替え初日からExcelを廃止するのではなく、1〜2ヶ月の並行期間を設けます。システム側のデータが信頼できると全員が納得してから、Excelを「参照のみ」に格下げし、最終的に卒業します。
メモ
並行期間は二重入力で負担が増える期間でもあります。「◯月末でExcel側を凍結する」とゴールを先に宣言しておくと、だらだらと二重運用が続くのを防げます。
まとめ
- 画面より先に「誰が・いつ・更新するか」の運用を設計する
- 入力は1分以内。選択式・最小限の必須項目で、更新のハードルを下げる
- データはひとつ、見せ方は立場ごとに分ける
- Excelとの並行期間を設け、ゴールを決めて卒業する
案件進捗管理は、関係者が多い割にルールが明確で、「1業務だけWeb化」の最初の題材として向いている業務です。現場からの作業報告と合わせて整理したい場合は作業報告・点検報告のスマホ入力の記事もどうぞ。
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